民事信託と税金について解説します。
信託財産が不動産であることを前提として書いています。
【贈与税】
@ 所有者以外が受益者になる場合
受益者は、信託受益権を委託者から贈与により取得したものとみなす。
贈与税が掛かる可能性があります。
A 所有者=受益者の信託契約の場合
税務上は利益の移転が無いものと見るため贈与税は掛かりません。
【相続税】
相続により所有者以外の人が受益者になります。
このため元の受益者から次の受益者に相続又は遺贈があったとになります。
受益権の価値の相当額が相続税が掛かる財産に含まれます。
【登録免許税】
・信託設定時
登録免許税は固定資産税評価額の4/1,000です。※土地は3/1,000(H30.3.31まで)
通常の売買や贈与による場合の税率は20/1,000です。
不動産の取得ではないため不動産取得税は掛かりません。(地方税法第73条の7の3)
・受託者の変更時
受託者の変更には登録免許税は掛かりません。
・受益者の変更時
受益者の変更は不動産1個につき1,000円です。
・信託の終了時
信託登記抹消として不動産1につき1,000円です。
不動産の帰属受益者に名義が変更されます。
名義変更による登録免許税は固定資産税評価額の20/1,000です。
ただし、相続により受益者となる場合は固定資産税評価額の4/1,000です。
【所得税】
受益権が売買されたときは、受益者が個人であるときは所得税の課税対象となります。
売却価額−譲渡原価=譲渡所得
C 固定資産税は誰が払うの?
信託による所有権移転の登記がされると不動産の名義は受託者の名前になっています。
このため固定資産税の支払通知書は受託者あてに届くことになります。
ただし、受託者あてに届いても受益者の代わりに支払うため実質的には受益者の負担ということになります。