令和3年度税制改正で、賃上げ税制が大きく変わると聞きました。どう変わるのでしょうか。中小企業者等の特例も同様ですか?
出演: … M社 経理部部長
… 顧問税理士
― M社 ―
M社経理部古門部長が顧問税理士と打ち合わせをしています。
もうすぐ年度末なんですよね。
そうですね。
御社は、3月末決算ですからね。
ええ。
今年もやってきますよ。恒例の“決算”が。
そうですね。
今年も所得拡大促進税制の適用を検討しないとなぁ。
コロナはありましたが、何だかんだと給与は増えていますし。
そうですね。
御社は、例年、中小企業等の特例である“所得拡大促進税制”を適用されていますからね。
この制度、何とかなりませんかね。もう、面倒で。
令和3年度税制改正で変わりますよ。
え?!
大企業も適用できる“賃上げ税制”が変わるのは、新聞で読みましたけど。
“所得拡大促進税制”もですか?
えぇ。
大きく変わるのは、確かに“賃上げ税制”ですが、“所得拡大促進税制”も変わりますよ。
“賃上げ税制”って、たしか、国内投資の要件がなくなるんですよね?
ご理解のとおりです。
令和3年度税制改正で、“賃上げ税制”については、国内投資要件が削除され、更に賃上げの対象が新規雇用者のみに限定されました。
え?
対象者も変わるの?
はい。
コロナで新卒者は就職氷河期になっていますし、解雇などもありますからね。
ですから、“賃上げ税制”は、外部人材を積極的に採用する事業者に対する特典、という趣旨に変わるんですよ。
ですから名称も、“賃上げ税制”から“人材確保等促進税制”に変わります。
へぇ。
じゃあ、“所得拡大促進税制”もそっちの方向になるの?
“所得拡大促進税制”は、基本的な趣旨や税額計算は変わりません。
ただ、より簡素に計算できるよう、継続雇用者に係る給与増加要件がなくなります。
つまり、企業全体の給与増加だけで要件を判定することになります。
そうですか。
給与の抽出が簡単になるのは有難いですけど。
“人材確保等促進税制”は適用できるかもしれませんね。
“賃上げ税制”は国内投資要件があって、初めから見向きもしてませんでしたけど。
2つの税制を見ていくとなれば、面倒は変わらないかもしれないなぁ。
抽出するデータが全体と新規雇用者のみであれば、一緒ではありませんからね。
そうですね。
これまで以上に両方の税制を見ていく必要がありますね。
ちなみにこの改正は、令和3年4月1日以後開始事業年度からの適用になりますから、御社の場合は次の決算から、ということになりますね。
まあ結局のところ、今回の決算は今まで通り計算しないといけない、というわけですね。
ご理解のとおりです。
はぁ〜ぁ。
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